豊永林業株式会社

豊永林業株式会社 永田 泰祐さん

日本で最も早く人工造林が始まった吉野の林業地域。その歴史は500年余りに及びます。豊永林業株式会社の永田泰祐さんは、長い歴史に育まれてきた吉野林業のノウハウのなかに山を守り自然と共存する叡智を見ました。それらを知ってもらうことや体験してもらう試みに取り組んでいる永田さんの想いについてお聞きしました。

「もうほんと目と鼻の先、車で5分くらい。歩いたら20分くらいかな」豊永林業の永田泰祐さんの案内で峠の集落から少し上ると背の高い木々が見下ろす山の中に入った。そこではトラック1 台と重機2台が作業中だった。「伐採した木は昔ならヘリコプターで搬出していたんですけど、それだと費用が高くなるので、自分たちで木を出せるように、約30年前から作業道を作り、機械化を進めてきました」

豊永林業は創業300年。永田さんは家業を継ぐために一昨年の春下市に戻ってきた。そのため「仕事的には、まだまだ素人」と謙遜する永田さんだが、林業の現場を肌で感じ、やるべきことが見えてきたという。「作業道は30年で80㎞ぐらい作ってきました。作業道は山に与えるダメージを少なく、時間が経てば自然の山に戻るように作っています」

「この機械は、ハーベスタといって木を3~4mに切って枝を掃う作業を同時にできる機械。すべての工程を人力でやっていた作業を、この機械を一台入れることでかなりの省力化になっています」多くの山林は人の手が入っている。そのまま放っておくと山は荒廃し思わぬ災害の原因となるため、最後まで人の手を入れなければならない。「私たちが今山で仕事をできるのは先祖がきちんと管理した山を残してくれたからです。本当にありがたいことです。私たちもこの山を豊かに育てて次の世代につないでいきたいです」

ただ、間伐の搬出コストを下げるだけでは限界が近いと危惧する永田さんは、販路を開拓するためのさまざまな取り組みを模索している。「搬出した木は原木市場にしか出せていなかった、それだと販路が限られます。そのため、地元下市の工芸品や、地域の木工作家さんの作品を取り扱うショップをしたりとか、農業をされてる方とタッグを組んだりして地域連携や異業種連携を進めています」

まずは木のことを知ってもらう間口を広げることが重要だというわけだ。「いずれは林業を学ぶことのできる体験コンテンツやワークショップもしていきたいと思っています。しっかり良い山を作っていくことが一番大事ですが、山のことをもっと知って、普段の暮らしの中に少しでも木を取り入れてもらえたら嬉しいですね」

体験コンテンツ

吉野地方で1,500ha(東京ドーム約320 個分)にも及ぶ山林を管理する豊永林業。この体験では、道作りのための木組みのくぎ打ち作業や伐倒作業を一部体験できるほか、製材所にて丸太を板に加工する作業を体験することができます。

「木を育て、道をつくり、人に届ける」を理念に林業を営む会社
豊永林業株式会社

名前

永田 泰祐

場所

奈良県吉野郡下市町下市135

連絡先
アクセス

近鉄下市口駅から奈良交通バス寺内下車、徒歩2分   
京奈和自動車道 御所南ICから車で25分