米田神具

米田神具店 米田 悟さん

米田神具店は130年以上の長い歴史をもつ神具店。現代にも伝統は引き継がれ、神棚や神具を手作業で製造され、販売されています。米田悟さんは師匠でもある祖父や父に教授されながら、祀る人の想いを大切にした神棚や神具づくりに邁進しています。「神棚は年配者だけのものではない」という米田さんのもとには、若い世代の人から神具の相談があることも。伝統の世界にありながら、新しい試みにも怯まずに臨む米田さん。神具づくりを通じて感じる想いについてお聞きしました。

平成28年4月、「下市の神酒口製作技術」が「日本遺産」に登録された。「神酒口は日本中にあるものですが、日本遺産に登録されているのは下市町で作られている神酒口のみです。下市の神酒口は、神棚の神酒入れに挿す正月飾りで、1月1日から3日まで飾ったあと、小正月の『とんど』の行事で注連縄や正月飾りと供に焚き上げする使い切りの神具です」他の地域は竹や和紙などで作られることが多い中、下市では吉野檜で作られる。そして現在、下市町で神酒口が作られているのはここだけなのだとか。

「『自分がせなあかん』という使命感はあったわけではないんです。でも、子どもの頃からここで職人さんとしゃべったり、小さい木があるのでくっつけて遊んだり。ものづくりは結構好きでしたから『それを仕事にできるならいいやん』と思っていました」米田悟さんは神具を作る職人だ。神具とは神棚やお祭りで使う道具のこと。「祖父と父と私の親子3代で仕事をしています。祖父は高齢のため作業はしませんが、祖父の長年の経験によるアドバイスを受け、頼れることはありがたいです」

「仏壇や仏像は、古いものに価値があるという考えがありますが、神棚は新しい方が良い『常若』という考え方があります」伊勢神宮では20年に一度、式年遷宮という行事を行っている。これは定期的に社殿や調度品を新しくすることで神様の御力が清く若々しく蘇ることを期するもの。家庭で祀る神棚もこれにならうのが良いのだとか。「職人として元あるカタチに触れ、その技術を取り入れることで、伝統を守り続けることができるのです」

近年、今までの神棚とは異なった、洋室に合う現代的な神棚が出てきている。「現代的な神棚が出てきたことで、神棚をお祀りする方々が増えてきたのは嬉しいことです。ただ、本来の神棚の造形にはたくさんの意味が存在しています。その造形は、日本人が神様をお祀りする想いの現れで、日本人が大切にしてきた伝統あるもの。神棚は『小さな神社』です。神社が現代に合わせて、洋風な建築に変化していないように、神棚も変化せず、そのままの造形であり続けるべきだと思います。だから私は、意味を持つ造形の神棚を作り続けたいと思います。また、その意味や神棚の世界を多くの方に伝えていきたいと思います」米田さんは「新しいモノに変えても、カタチや想いは変わらない」と伝統や技術を後世へ継承する意味深さについて語っている。

そういった延長線上にSNSの活動がありそうだ。「そうですね。SNSでの発信は、日本の方だけでなく、驚いたことに海外からの反応が多く、日本の文化が海外にも伝わってくれているのかなと思い、とても嬉しいです」現在、国内や海外の方向けにイベント・ワークショップ・見学にも対応している。「イベント・ワークショップなどで、多くの方と関わることで、自分自身の視野が広がるので、これからも挑戦していきたいと思います」

体験コンテンツ

奈良県の伝統工芸品であり、その技術が日本遺産に登録されている「神酒口(みきのくち)」をお作りいただけます。体験では、職人から神棚と神具の種類、神具づくりに使う道具についてのお話を聞き、様々な神棚とお社を見学することができます。

明治20年の創業以来、伝統の技術を今に受け継ぐ神具店
米田神具店

名前

米田 悟

場所

奈良県吉野郡下市町下市20-1

連絡先
アクセス

近鉄下市口駅から奈良交通バス千石橋南詰下車すぐ
京奈和自動車道 御所南ICから車で25分